TAKARAJIMAと宝島【吹奏楽×T-SQUARE】
吹奏楽ポップスの代表曲といえば、和泉宏隆作曲 真島俊夫編曲の「宝島」
原曲は日本を代表するフュージョンバンド「T-SQUARE」(当時:THE SQUARE)の1986年に発表された曲。
原曲も吹奏楽版もどちらもその世界で愛され続ける名曲である。
が、この2つ、あまりにも曲調が違いすぎないか?
フュージョンのスタイルを踏襲して作られてどこか哀愁さえ漂う原曲と、サンバのリズムを貴重として完全に賑やかな曲として作られた吹奏楽版。
スクエアのファンとして、私が初めてこの曲を聞いた印象は(中1の時)、「なんか違う。」だった。
よく某動画サイトのコメント欄で「原曲か吹奏楽版か論争」が起こっているが、
和泉宏隆のTAKARAJIMA
真島俊夫の宝島
は、完全に別の曲と捉えるのが正解だろう。
例えるならば、原典版と天理版の存在する「セントアンソニーバリエーション」のように…
この編曲があるから、「三つのジャポニスム」や「富士山」などの名曲を生み出した真島俊夫を好きになれない。(個人の感想です)
2016年全日本吹奏楽コンクール 高校後半
7年ぶりに全国大会を聞いた。(高校は初)
率直な印象は、課題曲が面白くない。
まるでフォーマットがあるかのようなマーチ
(しかもこの年は朝日作曲賞にマーチが選ばれたという…)
相変わらず音楽性0の課題曲5
時々演奏される課題曲3が唯一の救い。
作曲者は普段ミュージカルの作曲・指揮をしているらしい。
なるほど、確かに課題曲らしくない「序曲」風な香りがする。
構成もしっかりしていて楽しめる曲だった。
印象に残った団体を幾つかご紹介。
まずは片倉高校。
自由曲はマッキーの「ワイン・ダーク・シー」
マッキーを2014名取交響楽団のアスファルト・カクテル」で知っていたためか、難解でシンフォニックじゃない曲を書く人とばかり勘違いしていた。
冒頭のホルンの提示するテーマを1と3楽章では一貫して変奏している。
2楽章の急 - 緩 - 急の「緩」の部分は、下手に盛り上げすぎず一番のヤマ場も打楽器はチャイムだけという、厳かな雰囲気を漂わせる盛り上がり。悲劇的で個人的にはとても好き。
この曲は午前中に2年ぶりに全国大会へ返り咲いた九州代表の精華女子高校が、歴史に残る名演を残したらしい…
城東と精華の音源を聞いて、午前中が抽選で外れたことを後悔。
続いて、大阪桐蔭高校。
自由曲はガーシュインの「ポーギーとベス」
初めて聞いた編曲で、ど頭10秒で心を掴まれた。
木管のきらびやかな音符の連続の上に、トランペットがテーマを提示。
その後も、ほぼ全員による指パッチン(笑)や、かの有名なトロンボーンソロ。高度な技の中にどこか大人の余裕を見せる圧巻の演奏。
課題曲が3だったこともあって、個人的にはNo.1
大阪桐蔭の選曲には毎年心を惹かれる。
そして、聖ウルスラ学院高校。
2011年に役人で初出場金賞をもぎ取って以来、個人的に毎回楽しみにしているバンド。
今回は「交響変奏曲」というなんとも通な選曲。
内容は言わずもがな現代曲なのだが、タテとヨコの繋がりを超えた「現代音楽の完全な奏法」をマスターしているように見えた。
課題曲5も一番聞いていて楽しかったのはこの団体。
結果は金賞ではなかったものの、個人的には鮮烈な印象を与えてくれた団体だった。
続いて、浜松海の星高校。
ここは演奏の感想というより、演奏後のこと。
高昌帥の「エッセイ」を演奏したのだが、演奏終了後、一部の熱狂的ファン(たぶん親?)が余韻鳴り止まないうちに「ブラボー」とも聞き取れない奇声を発していた。
よくあることだから気にはしてなかったが、いざ近くでやられるといささかびっくりする。
演奏はそんなに好きじゃなかった。
元々高昌帥が嫌いなのもあるかな?
最後に、柏高校。
自由曲は天野正道の「シネマ・シメリック」
個人的に、この曲を聞くまで天野正道が好きじゃなかった。
コンクールに特化したかのような、心動かない音楽が嫌いだった。
しかしこの曲は全く違った。
人の心を動かす、そんな曲だったしそんな演奏だった。
クライマックスの盛り上げ方は、柏高校というか高校生のエネルギーがいっぱいに感じられる想い溢れるような演奏だった。
最後の三和音が鳴り終わる瞬間まで感動しっぱなしだった。
結論
高校生の吹奏楽にはエネルギーが溢れている。
名古屋にホールが移ってから音量主義の傾向は完全に薄れたが、高校生の持つエネルギーは健在で安心した。